第88章 彼を連れ戻す

「リレームが家に戻った。盗聴で聞いたんだが、妻と息子を国外へ逃がす段取りをしてる。とにかく一刻も早く、密航でもいいから出ろって。奥さんは泣きながら、なんで逃げるのか、何が起きたのかって詰め寄ってる」

エラの眉が、ぎゅっと寄った。

「待って。盗聴って……まだ仕掛けてるの?」

電話の向こうで、チャールズが気まずそうに乾いた笑いを漏らす。

「外に出る仕事だろ。備えは多いほうがいい」

エラは額を押さえた。

「違法盗聴で捕まるの、怖くないの?」

「まあね」チャールズの声は、どこか狡猾だ。

「でも、法廷に証拠として出さなきゃ、俺が何を聞いたかなんて誰も知らない。問題はそこじゃない。院長は...

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