第4章

 それから四日後、私は株主として初めて桐島商事を訪れた。

 ガラスと鋼鉄で構成されたビル。近代的で、威圧的。看護師など場違いだと言わんばかりの場所。

 だが今、私はその四十パーセントを所有している。

 エレベーターで二十三階へ向かう。上昇していく数字を見つめながら、震えだそうとする手を必死に抑え込んだ。

 昨夜、言うべき言葉を何度も練習した。バスルームの鏡の前に立ち、自分の言葉とは思えなくなるまで、繰り返し口にしたのだ。

「それは、盗みです」

 たった一言。それだけで十分だった。

 エレベーターのドアが開く。

 正面には会議室。ガラス張りの壁越しに、重役たちが集まっているのが...

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