第6章

 中央病院まで十二分で着いた。

 職員用駐車場に車を停め、エレベーターは遅すぎるから階段を駆け上がった。コートも着たまま、ICUの扉を勢いよく押し開ける。

 ナースステーションの看護師が顔を上げ、私に気づいた。

「304号室です。ずっと待っておられますよ」

 見慣れた廊下を進む。電子音が響く機械の横を抜け、家族が祈るように付き添う病室の横を抜けて。

 三週間。宗一郎さんがここに入って三週間になる。

 私はシフトが入るたびに顔を出した。そばに座り、話しかけ、手を握った。

 けれど、彼が目を開けることはなかった。

 今、この時までは。

 304号室。ドアは半開きになっていた。

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