第101章 病気

桐生冬紀の実家は、風町という。

ここ数年、各地で観光開発が進み、風町もまた「風情のある古い町」として整備された。よそからの観光客も増え、町全体としては、決して取り残されているわけではない。

家は路地の奥にあり、車は入れない。

桐生冬紀は買い物袋を二つ提え、三年ぶりに実家の戸口へ辿り着いた。

こういう路地の民家は、夜でもなければ、昼間に戸を開けていても物騒なことは起きにくい。

――どう入ればいい。

どんな顔で、なんて言えばいい。

迷っているうちに、家の中から誰かが出てきた。反射的に冬紀は壁の陰へ身を隠す。

そっと覗くと、母だった。

その瞬間――

「ガンッ!」

金属がぶつか...

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