第102章 お母さんを恨まないで

桐生冬紀は桐生の母に、途切れ途切れになりそうな呼吸を必死に繋ぎとめるように、心肺蘇生を五、六分も続けた。ようやく――母の眉間が、かすかに動いた。

冬紀はすぐさま身を伏せ、耳を押し当てて鼓動を確かめる。戻ってる。呼吸も、ある。

胸の奥が熱くなって、涙が一気に溢れた。

「お母さん……! お母さん!」

けれど母は目を開けない。冬紀は震える手を押さえつけるようにして、また胸骨圧迫を続けた。

ほどなくして、路地の外でサイレンが近づき、救急車が到着する。

医療スタッフが担架で桐生の母を運び出し、そのまま搬送。病院に着くなり一直線に救命処置室へ入っていった。冬紀と桐生の父は、扉の前で止められる...

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