第105章 跪いて願う

桐生冬紀は、もう一つ別の病院へ桐生の母を見舞いに行かなければならない。これ以上この男と話す気にもなれず、踵を返して立ち去ろうとした。

「親父と、あの奥さんさ。まさか本気でおまえのこと気に入ってるとはな。わざわざ会社まで来て、俺に頭を下げたんだぜ」

御堂怜央は鼻で笑う。

「俺におまえを御堂家へ嫁がせたいんだと。……悪いが、俺は要らない」

桐生冬紀は一度、目を閉じた。

もうどうにでもなれ。そう腹を括る。

振り返り、車内を覗き込む。

「だったら御堂社長、どうかお手柔らかに。私の就職の邪魔はやめてください。仕事が見つからなくて生きていけなくなったら、御堂会長と御堂奥さんのところへ行って...

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