第108章 ペット

御堂怜央は、そのまま通話を切った。

桐生冬紀はスマホを放り投げ、咳き込みながら薬を探す。飲み込んで、ようやく咳が少し落ち着いた。

息を整えると、冬紀はすぐにT市行きの切符を取った。

T市駅に着き、改札を抜けて外へ出ようとしたとき――ふと視界の端に、見覚えのある後ろ姿が映る。

足が止まった。

白井柚葉だ。

距離は遠すぎず近すぎず。向こうも、こちらに気づいたらしい。

冬紀は咳のせいでマスクをしていたが、露わになった目元と体つきだけで、柚葉には分かったのだろう。柚葉の視線が、まっすぐ冬紀を捉える。

柚葉の隣には中年の女性がいた。顔立ちがどこか似ている。――母親、だろうか。

柚葉は...

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