第109章 見もの

食事を終え、桐生冬紀と本田由衣はマンションへ戻った。

冬紀は、明日母を病院へ連れていくための荷物をまとめていた。由衣はソファに沈み込み、スマホをスクロールしていたが――突然、ぱっと顔を上げて声を弾ませる。

「冬紀!」

冬紀が手を止めて振り向く。

「どうした?」

由衣は身を乗り出し、指で空中に丸を描くみたいに大げさに身振りした。

「仕事、見つけた! 冬紀の!」

「……え?」

「さっきSNS見てたらね、前の上司が募集かけてて。部長職! 冬紀に合うと思って、すぐ連絡して、履歴書も送ったの。そしたら、見た瞬間に『条件ぴったり』って!」

冬紀は記憶をたどる。

「由衣、前は万華だった...

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