第123章 真偽

……でも、だめ。だめなの。

冬紀は唇を噛んだ。両親がいる。自分だけの痛みで、全部を投げ出すわけにはいかない。

「あなたは私のお母さんの心臓を奪った。お母さんが生きるはずだった未来を奪った。それは動かしようのない事実よ。あなたのせいで、私はお母さんを失う。……少しでも人の心が残ってるなら、いい加減やめて。私を追い詰めて、あなたに何の得があるの?」

「動かしようのない事実、か」

御堂怜央がその言葉をなぞるように繰り返し、鼻で笑った。

「おまえは、どうしてもそう思いたいんだな」

桐生冬紀だって、そう思いたくはない。

けれど――白井柚葉が今日、自分の口で言ったのだ。あの心臓はいま、彼女...

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