第127章 悪いこと

「彼女、まだ起きてないんだろ。寝かせてやれよ」

黒崎悠真がやわらかい声で言う。

「朝飯は?」

本田由衣がぱちぱちと瞬きをした。

「あとで出勤途中に買います」

「俺、ちょっと食材買ってきた。粥でも炊いていくよ。急ぎじゃなければ、少し待てば食える」

本田由衣はその瞬間、すべてを察した。

粥を炊きに来た、なんて建前で――要するに、冬紀のために飯を作りに来たのだ。

今どき料理ができる男がいるんだ。しかも、こういう育ちの良さそうな男で。

本田由衣は即座に言った。

「どうぞどうぞ。キッチンあっちです。好きに使ってください、遠慮しないで。私、仕事急いでるんで朝は抜きます。二人で食べてく...

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