第13章 罠に嵌めた

想定外の事故だった。誰も、こんなことになるなんて――。

現場は一気に阿鼻叫喚と化した。木材をどかす者、救急車を呼ぶ者、負傷者を抱えて病院へ走る者。怒号と足音が入り乱れ、空気がざわざわと震えていた。

不幸中の幸いだったのは、落ちてきたドラゴンボートがまだ骨組みだけで、完成品ほどの重量ではなかったことだ。桐生冬紀のふくらはぎはレントゲンで骨折なし。もし完成した船体――数トン級――が直撃していたら、この脚は確実に終わっていた。

だが、問題はそこじゃない。

スミスがその場で頭を打って気を失った。相手は客だ。必ず説明と責任が求められる。

工場長は彼らが搬送されている間に血相を変えて調べ上げ、...

ログインして続きを読む