第140章 恋人たち

御堂怜央は口の端で嘲るように笑った。

「俺は信じてない。だから細部を聞く。――まだどう盛るつもりか、見せてもらおう」

「御堂社長が物語を聞きたいなら、劇場へどうぞ」

桐生冬紀は堪えきれず顔を背け、顎を挟んでいた手を振りほどく。もう一言も口にしたくなかった。

御堂怜央は二秒ほど彼女を見つめた。やがて眉目の温度がすっと落ち、追及はしない。代わりに彼女の両手を掴み、手綱へ導く。澄んだ声は冷えきっていた。

「両手で手綱を持て。左右で方向、締め具合で速さを決める。腹を蹴りすぎるな。脚の合図に慣れて鈍くなる」

「……」

――何、それ。

今さら、乗り方を教えてるの?

御堂怜央が彼女の脛を...

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