第142章 猶予がない

翌日、黒崎悠真のチームは青雲と契約を締結し、週末に青雲がY市へ出張するため同行するよう通達を受けた。

至極もっともだ。現地でデータを実測しなければ次の開発段階へ進めない。黒崎悠真が行くなら、桐生冬紀も当然ついていくことになる。

調印を終えると双方は解散となり、桐生冬紀は会議室を出た。スマホを見ると、不在着信が一件。姉からだった。

桐生冬紀はすぐに折り返す。

「姉さん」

『冬紀、忙しい?』

「もう大丈夫。どうしたの?」

姉の声が少し硬くなる。

『お母さんのことでね……』

『ここ二日くらい、胸が苦しいって言うの。息が吸いづらいみたいで、食欲もあんまりなくて……顔色も良くない。心...

ログインして続きを読む