第154章 鈴奈

T市の界隈は、御堂怜央を頂点に回っている。

桐生冬紀は御堂怜央に締め出され、誰もが「桐生冬紀は御堂怜央の敵だ」と決めつけた。だから彼女が不運に見舞われれば、御堂怜央がわざわざ聞かなくても、媚びたい連中が勝手に情報を拾って、彼の目の前へ差し出す。

今日もそうだった。

取引先との会食の席で、相手が唐突に口にしたのだ。部下が警察署で用事を済ませているとき、桐生冬紀とその友人を見かけたらしい。何かの揉め事で呼ばれていた、と。

御堂怜央はその場では何も返さなかった。

だが食事が終わると、彼はここへ来た。

御堂怜央はスマホを取り出し、坂本裕也へ短く打つ。

「半年前。桐生冬紀が流産した経緯を...

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