第16章 辞職

今になってようやく、桐生冬紀は彼を真正面から見た。

「これは私と彼女の賭けの結果です。この場にいる全員――御堂社長、あなたも証人。私はただ、負けた側として約束を果たしているだけです。御堂社長は、私のどこが問題だと? 私の何が間違ってるんですか?」

全身の針を逆立てたハリネズミみたいだった。普段の、落ち着いていて目立たず、どこかへりくだるような彼女とは真逆。

御堂怜央は、知らない人を見ているような気分になった。

「彼女は私を貶めた。でっち上げて、陥れた。ひょっとしたら、ロープを引いたのだって彼女で、私に罪をなすりつけたのかもしれない。証拠がなかったらどうなってました? あの子の二、三言...

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