第167章 俺のことが気になるのか

午後から作業が始まった。

桐生冬紀はタブレットでデータを整えている。いつの間にか隣へ来ていた鈴奈が、画面を覗き込みながら言った。

「ここ、なんか間違ってない?」

桐生冬紀はすっかり信じて、鈴奈が指した箇所へ視線を落とす。

「え? どこが?」

鈴奈は適当に指しただけだ。仕事の相談を装って距離を詰め、話したいことがあった。

声を落とす。

「御堂社長、昨夜ほっぺに手形ついてたけど。あれ、あんたが叩いたんでしょ?」

桐生冬紀は、ただの口実だと気づいた。自分の作業へ戻らず、鈴奈を見たまま黙る。

鈴奈がさらに低く囁く。

「よくやったよね。何を後ろ盾にしてんの?」

後ろ盾なんてない。...

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