第18章 引く手あまた

噂というものは流れていく。桐生冬紀が短期間で何社とも頻繁に接触している――そんな話、業界の耳から隠し通せるはずがなかった。

週末。御堂怜央は友人たちと草原の乗馬クラブへ出かけ、馬に乗って気晴らしをしていた。話題は自然と、その件に移る。

成宮明人が、少し間の抜けた調子で聞いた。

「マジ? 怜央さん、桐生秘書を手放す気あんの?」

「本当だろ」青木辰樹が即答する。

「うちの人事部長が連絡した。けど、向こうは『今回は難しい』って丁重に断ってきた。キャリアの都合か、怜央と俺が知り合いだから気を遣ったのかは知らんがな」

辰樹の視線が、ちらりと怜央に刺さる。――おまえのせいで、せっかくの人材を...

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