第185章 疑い

夜の冷気が寄り集まって薄い霧になり、街灯の下に織り込まれる。輪郭の曖昧な影が、ゆらゆらと揺れていた。

桐生冬紀は息を整え、淡々と言った。

「私、医者じゃありません。見せられても治せないです。御堂社長は、ちゃんと医師を呼んでください」

彼の、含みのある言い方には乗らない。

御堂怜央が鼻で笑う。車窓の外灯が流れて、桐生冬紀の顔が明るくなったり暗くなったりした。

彼女の肩には、彼の上着が掛けられている。サイズの大きいそれが、もともと細い身体をいっそう頼りなく見せた。

今の彼女はみっともないほど狼狽えていた。髪は乱れ、顔色はまだ戻らず、わずかに青い。――三年前の、あの雨の夜と大差ない。

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