第188章 実はそうではない

御堂怜央は彼女の手を有無を言わさず掴んだ。桐生冬紀が反射的に引っ込めようとすると、彼はピンセットでコットンを挟み、ヨード液をたっぷり含ませて、そのまま彼女の手のひらに押し当てた。

桐生冬紀は思わず息を吸う。

御堂怜央は嘲るように一瞥し、手のひらの擦りむけた箇所をコットンで拭き続けた。――木に登って落ちたとき、擦ってできた傷だ。

浅いとも深いとも言えない擦過傷が何本か。処置もせず、手も洗ってしまったせいで、皮膚が少しめくれ、白くふやけている。

いつ見たのだろう。

黒崎悠真はあれだけ長く一緒にいたのに、気づきもしなかったのに。

「絆創膏すら貼れないのか」

「ただの擦り傷です。二、三...

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