第195章 命を落とす

桐生冬紀は下唇を噛みしめ、意識をつなぎ止めるようにして、ふらつく足で彼のほうへ押し進んだ。

「黒崎悠真! 黒崎教授——!」

ダンスフロアはあまりにも騒々しい。

黒崎悠真の目は黒崎薫だけを追っていた。桐生冬紀がようやく人波をかき分け、あと少し——手を伸ばせば届く距離まで詰めた、そのとき。

黒崎薫が誰かにぶつかられ、よろけて転んだ。

人の中で倒れれば、踏まれて大怪我をする。最悪、取り返しがつかない。

黒崎悠真は顔色を変え、前を塞ぐ人間を強引に押しのけた。押された男がよろめき、そのまま桐生冬紀の腕を弾き飛ばす。

伸ばした手が、空を切った。

黒崎悠真はしゃがみ込み、泣き出した黒崎薫を...

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