第199章 置き去りにする

同じ頃、T市では――姉さんが、桐生冬紀の電話に何度かけても繋がらずにいた。

桐生の母がさっき突然意識を失い、医師が慌てて駆けつけて処置に入った。前にも一度、危ない場面を越えている。けれど二度目は、慣れるどころか、恐怖が増すばかりだった。

その瞬間、姉さんは桐生の母の言いつけを頭の隅へ追いやり、迷いなく桐生冬紀へ電話をかけた。戻ってきて、決めてほしかった。――なのに、桐生冬紀の携帯は繋がらない。

二回目をかけようとした、そのときにはもう処置は終わっていた。医師が姉さんの前に立ち、淡々と説明する。

「現在は容体が安定しています。先ほど意識を失ったのは、脳への酸素供給が不足したことが原因で...

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