第200章 俺の秘書

桐生冬紀は思わず、男の胸元のセーター生地をぎゅっと掴んだ。

御堂怜央は伏し目がちに彼女を一瞥する。こんな時だけ、頼ることは覚えているらしい。視線を福田圭介へ移し、淡々と言った。

「海子? 福田さん、人違いだ。彼女は俺の秘書だ」

福田圭介が陰に湿った笑みを浮かべる。

「ありえねえだろ。こいつは海子だ。俺が間違えるわけねえ」

御堂怜央は小さく笑った。

「つまり、俺が間違えたって言いたいのか?」

声は荒くない。けれど、この男はそれだけで空気を支配する。そこに立っているだけで、誰もが無闇に逆らえなくなる類の威圧。

それは御堂家が代々積み上げてきた財と権の重みであり、青雲グループが百貨...

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