第205章 二人の男

「黒崎教授がお急ぎなら、お先にどうぞ。桐生さんは残ってください」

黒崎悠真はメガネを掛け直した。銀縁がひやりと光る。

「御堂社長、そのご要望には、どんな根拠が?」

「杏南山の施設は、まだデータ採取が終わっていません。あなた方のチームから、誰か一人は私に同行してもらう必要がある。黒崎教授がT市に戻って次の段階へ進むなら、桐生さんに残ってもらう。……そんなに理解しづらい話ですか」

会議卓を挟み、男二人の視線がぶつかった。

共同作業が始まってから、彼らがまともに言葉を交わしたことはほとんどない。仕事が動き出した途端、黒崎悠真は御堂怜央にT市へ戻され、火災を起こした研究室の後始末に追われて...

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