第216章 俺はここにいる

桐生冬紀には、さっき二人が何を話していたのか分からない。けれど、どちらからともなく話題は途切れた。

彼女は御堂怜央を一瞥し、それからベッド脇の椅子にいる黒崎悠真へ視線を移す。起き上がろうとして――

左手を痛めているせいで、マットレスに手をついて身体を支えられない。

黒崎悠真がすっと立ち上がり、当たり前のように彼女の肩を支えた。さらに枕を腰の後ろへ差し込み、楽な角度に整える。

さっきまでの険が抜けた顔で、彼は丁寧に尋ねた。

「どう? 痛む?」

桐生冬紀は首を横に振る。

「痛み止め飲んだから平気。……どうして来たの? 黒崎さん、重いケガなんじゃ……」

黒崎悠真は落ち着いて答える。...

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