第223章 陰で狙う

昨夜は体を拭いただけだったせいか、桐生冬紀はどうにも気持ちが落ち着かなかった。とくに髪に残る匂いが気になって、丸一日我慢してみたものの、結局耐えきれない。

看護師にラップをもらい、怪我をしているほうの手をぐるぐると巻く。水に触れないように、できるだけ動かさないように。

特別室は広さこそあるが、防音はそれほどでもない。洗面所から聞こえるシャワーの音が、しとしとと病室まで抜けてくる。

御堂怜央はベッドの上で、海外の取引先とビデオ会議中だった。水音が耳に入り、集中がわずかに揺らぐ。

向こうが呼ぶ。

「ミドウ?」

御堂怜央は我に返り、淡く「……ん」と応じた。手元のコップを取り、すっかり冷...

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