第226章 見物に連れて行く

黒崎悠真は、杏南山の杏南村で採取したデータ一式を桐生冬紀へ送った。桐生冬紀は翌日、点滴を受けながらそれを整理する。

傷めたほうの手も動くようになっていて、作業効率は悪くない。彼女は一度仕事に没頭すると、ほかのことを頭から追い出してしまうタイプでもあった。

ひととおり片づけ終えた頃、点滴ボトルはすでに空。看護師が入ってきて、針を抜き、器具を回収していく。

そのとき桐生冬紀は、ボトルに貼られた薬剤名が、ここ二日ほど打っていたものと違うのを見て取った。胸の奥が、すっと冷える。

彼女は何食わぬ顔でスマホを取り出し、ラベルの文字をさっと撮影した。

昼食は黒崎悠真が「戻れない」と言ってきた。最...

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