第233章 仕組まれた

桐生冬紀は一瞬きょとんとして、申し訳なさそうに言った。

「大丈夫。うち、事務所からそんなに遠くないし。タクシーで帰っても三十分くらいだから」

「でも最近、出張だったでしょ? 由衣も実家に帰ってて、マンションずっと換気してないんじゃない。空気こもってると、落ち着かないよ」

星川涼音はそう言って、さらりと続ける。

「今夜はうちに来て。明日、一緒に病院へ行ったほうが早いし」

桐生冬紀が迷ったのは、星川涼音には夫の青木辰樹がいるからだ。自分が泊まりに行って、気まずくならないだろうか。

その逡巡を見抜いたのか、星川涼音は一拍置いて、まっすぐ告げた。

「最近、旦那とケンカしてさ。家には帰っ...

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