第24章 威を借りたくない

桐生冬紀が言った。

「私に面子なんてありません。ただ……理屈は単純ですし、社長方だって分からないはずがないと思うんです」

「二社が手を組むのは、結局お互い得があるからですよね。ここまで場がこじれて話が流れたら、由衣の会社が損をするのはもちろんですけど、社長にだって旨みはない。……違いますか?」

――たしかに、そのとおりだ。

組めるのは双方に利があるからで、どちらか一方だけが得をする話じゃない。

ただ男の悪い癖というか、契約を盾にして若い女をちょっと困らせて、ついでに小さな得を拾いたいだけ。取れないなら破談にするほどの覚悟はない。

隣の男が桐生冬紀をじろじろ見て、ふいに言った。

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