第240章 唯一の選択

桐生の母の手術はすでに終わっていた。桐生冬紀はそのまま、集中治療室のあるフロアへ駆け上がる。

家族は中へ入れない。姉さんと義兄も、外の椅子に座って待つしかなかった。冬紀は二人の姿を見つけるなり、息を切らして駆け寄った。

「姉さん!」

姉さんはもう涙でぐしゃぐしゃだった。冬紀の顔を見るなり飛びついてきて、肩を叩く。

「なんで電話に出ないの! どうして出ないの!」

押されて冬紀はふらりと二歩、後ろへ下がった。喉の奥がきゅっと詰まる。

「わざとじゃない……お母さん、どうなったの?」

けれど姉さんは答えず、ただ泣くばかりだ。その泣き声に引きずられるみたいに、冬紀の呼吸まで苦しくなる。昨...

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