第251章 抱きしめに行く

桐生の母の手術前夜。桐生冬紀は、きっと眠れないだろうと思っていた。けれどまぶたを閉じた瞬間、意識がすとんと落ちて――次に目を開けたときには、もう翌朝の7時だった。

手術は8時開始。冬紀は簡易ベッドを畳み、病院の洗面所で顔を洗って身支度を整えると、ICUへ戻った。

ほどなくして、姉さんと義兄さんも駆けつけてくる。

8時ちょうど。医療スタッフが桐生の母をストレッチャーで手術室へ運び、「手術中」の赤いランプが点いた。

冬紀の心は、その瞬間から宙づりになった。

失敗したらどうしよう。途中で何か起きたら。自分がサインして手術台へ送り出したことが、結果的に母を殺すことになったら――。

分かっ...

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