第254章 一晩泊まる

御堂怜央はようやく視線を戻すと、スペアリブの皿を彼女の前へすっと押しやった。

「昨日、気に入ってたろ。あいつに同じように作らせた」

――つまり、彼女のためだけに頼んだものだ。自分は食べる気がない。

桐生冬紀は唇をきゅっと結び、手にしていたスープを持ち上げた。

「これが私たちの取引だとしても、お礼は言わせてください。御堂社長がいなかったら、母の手術はこんなに順調に進みませんでした」

御堂怜央が鼻で笑う。

「俺が頼んだ料理で礼を言うのか?」

桐生冬紀はさらりと言ってのける。

「今度、私が御堂社長にご馳走します」

御堂怜央の視線が彼女をなぞり、それから彼もスープに手を伸ばした。

...

ログインして続きを読む