第258章 服についた血

桐生冬紀は、ハンドソープと洋服ブラシで指先をこすり洗いしている最中、ふと顔を上げた。鏡の中――自分の首筋に、鮮やかな赤い痕がひとつ。

彼女は堪えるように目を閉じる。

考えられるのは、ただひとつ。さっきの程度で済んだのなら、むしろ「直に」よりは、また一つ難を逃れたのだと。

桐生冬紀は目を開け、表情を平らに戻した。

何度か手を洗い直し、コンシーラーで痕を消す。クローゼットからハイネックのセーターを引っぱり出して着込んだ。

パジャマを洗濯かごに放り投げたとき、そこに御堂怜央の服が混じっているのが目に入る。けれど、昨日着ていたものではない――昨夜、外に出たときの?

思わず二度見したのは、...

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