第269章 心も震える

だが黒崎友也は、まるで聞こえていないように受け流した。

葉山怜美は腕を組み、いっそう得意げに口角を上げる。

「いるよねえ、そういう卑しい人。別に呼んでもないのに勝手についてきて、追い払っても追い払っても離れないの。そんなに人の世話が好きなら、せいぜい尽くせば? あの子の価値なんて、それくらいしかないんだから」

純粋な傍観者である桐生冬紀ですら、耳が痛くなる言い方だった。

葉山怜美はぱちぱちと瞬きをして、わざとらしく首を傾げる。

「前田さん、勘違いしないでね? あなたのことじゃないから。でもさ、傘さしてくれる? 日差しで焼けちゃう~」

鈴奈は化粧で顔色が読めない。ただ、唇だけがきゅ...

ログインして続きを読む