第274章 飲まない

昼は焼肉のフルコースだった。

皆が口々に「柳原社長は段取りがいい」と褒めそやす。

柳原礼治も上機嫌で言った。

「そうだ。この荘園、天然の温泉も引いてあるんだ。午後は特に予定もないし、ひとっ風呂どうだ? 冬に入る温泉は格別だぞ」

誰かが茶化す。

「そこまで気が利くなんて。そりゃ皆が言うわけだ、柳原社長は女子の味方だって」

グラスが一斉に上がり、柳原礼治へと酒が注がれる。席は終始、和やかな笑いに包まれていた。

御堂怜央は酒をひと口含むと、視線を落とし、桐生冬紀へ身を寄せる。

「午後は、彼女たちと温泉に行ってろ。こっちは少し話がある」

桐生冬紀は察した。

やっぱりだ。

御堂怜...

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