第284章 自分のものにした

柳原礼治はハンドルを切って角を曲がると、ちらりと桐生冬紀を見てから笑った。

「冗談だよ。ただ、桐生さん顔色が悪かったからさ。俺のもてなしが足りなくて楽しめなかったのかと思って、笑わせようとしただけ」

桐生冬紀に、そんな余計なサービスは要らない。

彼女が思ったのは、柳原礼治はどこかおかしい、ということだけだった。

とはいえ、柳原礼治みたいな男を敵に回せる立場でもない。だから中央病院の正面に着くと、表面だけは丁寧に言った。

「ありがとうございます、柳原社長」

柳原礼治は口元を吊り上げる。

「どういたしまして。けど、追いかけるって言ったのは冗談じゃない。これから俺が至らないところがあ...

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