第285章 俺を弄ぶ気か

御堂夫人は、このときばかりは目を丸くした。

「怜央があなたのお父さんを出したの? 私は下の者に手配させたのよ。あの日あなたから『もう出てきた』って電話があったから、てっきり私のほうが動いたんだと思ってた」

桐生冬紀は合わせるように言う。

「下が聞き漏らしたのかもしれません」

「帰ったらきっちり叱っておくわ」御堂夫人は続けて、ため息混じりに言った。

「でも、こうなると……怜央の中にあなたがいるってことよね。なのに、どうして彼のそばに戻って働くのを嫌がるの?」

桐生冬紀は多くを語らず、ただ告げた。

「お願いしたいのは、それだけです。どうか力を貸してください」

御堂夫人は困ったよう...

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