第287章 ちょっと変

運転手が前でハンドルを握っているのに、危うく操作を誤りかけた。こんなことを御堂社長に言えるのは、彼女くらいだろう……。

御堂怜央もまぶたを落とした。伏せた眼差しには、すでに警告の色がにじんでいる。

前田鈴奈は、それを完全に無視した。

「桐生秘書は人間です。人間なら気分も感情もある。猫でも犬でも、しょっちゅう叩いたり怒鳴ったり、飯を与えなかったりしたら逃げたくなるでしょう。まして人ですよ」

「最低限の敬意を払って、あなたの目に彼女が『ひとりの独立した人間』として映ってるって感じさせないと、あなたへの拒否感なんて下りませんよ……正直、脅したり餌で釣ったりして女を無理やりそばに置いたって、...

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