第298章 悪い人ではない

「御堂社長、もう終わったんです。私が急にいなくなったから、納得できないのは分かります。でも、もうこんなに時間が経った。そろそろ受け入れてください。私みたいな……あなたがもう飽きた女に、いつまでも構う必要なんてありません」

飽きた――そう言ったのは、彼のほうだ。

御堂怜央が、こちらへ一歩だけ踏み出す。

駐車場はもともと薄暗い。彼の顔立ちも輪郭が曖昧で、感情も同じように掴めない。

「言え。続けろ。ほかに何がある。俺はおまえに、ほかに何を言った」

桐生冬紀は少し考える。多すぎて、すぐには整理できない。

「気に入らない、とか。育ちが悪い、とか。だらしない、とか……」

ただ復唱するだけで...

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