第299章 人を追っている

桐生冬紀はその場で固まった。恐る恐る開いてみると、名義人の欄には――自分の名前。

しかも物件の所在地は、黒崎グループからほど近い高級住宅街だった。

「……」

少し考えて、まず黒崎悠真を除外する。あの人がこんな非常識なことをするはずがない。仮に家を贈るにしても、必ず事前に一言ある。

こんな突拍子もないことをやりそうな人物――桐生冬紀は迷わず柳原礼治にメッセージを送った。

「柳原社長、会社に私宛てで何か届かせましたか?」

以前から花をしつこく送ってくる男だ。今回もその延長だと疑うなというほうが無理だった。

柳原礼治は忙しいのか既読にもならず、返事が来たのは一時間以上経ってから。しか...

ログインして続きを読む