第45章 いい度胸だ

彼のその言葉の意味は――

桐生冬紀は両手でハンドルを握ったまま、ルームミラーを素早く一瞥した。

「……あの秘書、本当に近藤社長の人間なんですか?」

御堂怜央は昨夜ほとんど眠れていないのか、気分が悪そうにまぶたを半分落としている。切れ長でもない一重の目は、見た目だけなら情の薄い冷たい男そのものだった。

「スパイの差し込み方は三流だが……使える駒ではある」

確かに、使える。選んできた女は、趣味までぴたりと合っていた。

桐生冬紀は、相手がどこかの筋から「御堂怜央が父親と白井柚葉の件で揉めている」ことを掴み、それであの秘書を寄越してきたのだろう、と当たりをつける。

あの秘書には白井柚葉...

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