第46章 残すべきか

桐生冬紀は勢いよく立ち上がり、秘書を背中に庇った。

「近藤社長はご存じないんですか。人に手を上げるのも、立派な犯罪ですよ。彼女がこちらに付いたからいいものの、そうでなければ――商業スパイを潜り込ませた件まで掘り返されたら、罪が増えるだけです。いくら稼いでも、刑務所じゃ使えませんからね」

「……」

結局、近藤社長は歯を食いしばったまま契約書にサインした。出ていく間際、秘書へ吐き捨てる。

「覚えてろよ」

完全に恨みを買った顔だった。

秘書は頬を押さえ、しくしく泣きながら御堂怜央の前へ寄る。

「御堂社長……」

この勝負に勝てたのは、彼女が功労者なのは間違いない。なにより、平手打ちま...

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