第51章 娶る羽目になる

黒崎悠真はしばらく車を走らせ、彼女を青雲の前で降ろした。桐生冬紀は餃子の袋を提げて車を降り、身をかがめて彼に手を振る。

その光景を、ちょうど御堂怜央に用があって青雲へ来た来栖千隼が目に留めた。眉を軽く上げると、彼は何事もなかったように先に社内へ入っていく。

来栖千隼が御堂怜央を訪ねるのは日常茶飯事だ。いちいち取り次ぎなど要らない。勝手知ったる顔でエレベーターに乗り、社長フロアへ上がる。

コン、と一度だけノック。

「入れ」

御堂怜央の声は短い。

来栖千隼がドアを押して入ると、御堂怜央は書類から目を上げ、ちらりと彼を見た。

「勝手に座れ」

まだ決裁中らしく、ペン先が止まらない。

...

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