第67章 子ウサギ

御堂怜央の眉間が、すっと冷えた。

「いつだ」

桐生冬紀は淡々と言う。

「昨夜だって」

昨夜、桐生冬紀は被害に遭った。

――だが、相手が近藤社長かどうか。そんなこと、御堂怜央ほど分かっている人間はいない。

御堂怜央は松本小夜へ視線を移す。

「おまえ、何を見た」

「わ、私……」

松本小夜は顔色を失い、ようやく気づいた。桐生冬紀は冗談を言っているんじゃない。

焦って声を荒げる。

「桐生冬紀! 何言ってるのよ、でたらめ!」

「でたらめ? でたらめを言ったのはどっち」

桐生冬紀は肩をすくめる。

「私と近藤社長がどうこうしたって、同僚に向かって断言したのは松本秘書でしょ。ずい...

ログインして続きを読む