第7章 触れたことがない

会議室の扉は内側から施錠されたまま、ほぼ一時間。

事が終わってから、桐生冬紀はアルコールのウェットシートを何枚も使い、会議卓を丁寧に拭き上げた。

片づけを終えて振り返ると、御堂怜央はもういつもの姿に戻っていた。隙のない身なり、近寄りがたい気配、上から見下ろすような目。

ただ、よく見ればシャツにわずかな皺が残っている。さっきの乱暴さは、彼のほうが先に堪えきれなかった証拠。

桐生冬紀はネクタイを手に取り、そっと近づいて結び直してやる。

御堂怜央は世話をされ慣れていて、顎をわずかに上げ、喉仏を晒した。冬紀の指がすばやく動き、結び目がきれいに整う。

桐生冬紀は小さく息を落とすように言った...

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