第71章 逃げられない

この女、いったい誰を警戒しているのか。長ズボンに長袖のコットンパジャマで、肌なんて一切見せないつもりらしい。けれど寝相がよろしくない。寝返りを打つたび前開きのボタンが擦れて外れ、鎖骨がひと筋、白く覗いていた。

――包めば包むほど、かえって引き裂きたくなる。

その理屈を、彼女は分かっていない。

御堂怜央は何かを天秤にかけるような顔をしたが、ともかく水を飲み干すと自室へ戻っていった。

夜中、桐生冬紀は寒さで一度目を覚ました。毛布がカーペットに落ちている。面倒になって薄手の上着を一枚羽織り、毛布をかけ直して横になる。

それでも翌朝、起きた瞬間から頭がぼんやり重い。

ただ、洗面を済ませる...

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