第79章 いい値で売る

何度も話題に上がっていたあの晩餐会は、今回の航海でもっとも重要な宴だった。乗船している者は例外なく、そこで顔を見せることになる。

御堂怜央はすでに数着のドレスを用意し、桐生冬紀に選ばせるためハンガーに掛けてあった。プロのヘアメイクチームも待機済み。

彼が彼女を飾り立てれば立てるほど、冬紀の胸の奥はひやりと冷えていく。

――きれいに整えて、少しでも高く売る。そんな感じがして。

気分が乗らず、適当に一着を指さした。

ソファで雑誌をめくっていた怜央が、ちらりと視線だけ寄越す。

「それじゃ、あの玉のかんざしに合わない」

思い出す。昨夜、怜央が競り落としたあの玉のかんざし。あれに合わせる...

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