第88章 どこへ行ったのか

気を張っている間は何ともなかったのに、ふっと力が抜けた途端、桐生冬紀は急に頭がずしりと重くなった。

額に手を当てる。――今度は本当に熱が出ている。

スタッフに頼んで風邪薬をもらい、飲み下す。とにかく静かな場所で少しだけ休みたかった。

ちょうど青木辰樹と鉢合わせた。青木が首を傾げる。

「怜央と一緒じゃないのか?」

桐生冬紀は一瞬、反応が遅れた。ああ、御堂怜央のことか。適当に上を指して、青木の横をすり抜け、窓際のソファへ腰を下ろす。

青木辰樹は彼女を二、三度見てから、何も言わずにそのまま階段を上がっていった。

桐生冬紀は一人でソファに座り続けた。座っているほどに眩暈が強くなり、もう...

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