第91章 警戒心

時刻を一時間半ほど巻き戻す。

桐生冬紀は宴会場の片隅にひとり座っていた。頭がじわじわ重くなっていく。額に触れる――熱は、まだ引いていない。

もう無理はしない。テーブルに手をついて立ち上がり、部屋に戻って少し眠ろうとした。

本来ならエレベーターでそのまま自室のある4階へ上がれた。だが、エレベーター前に着いたところで、数人の男が揉めていて、酔っているのか別の理由なのか、口汚く言い合いながら通路を塞いでいた。

桐生冬紀は眉をひそめ、あっさり階段へ向きを変える。

どうせここは3階。ひとつ上がれば着く。

――けれど、彼女の記憶が間違っていた。

パーティー会場は2階だったのに、3階だと思い...

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