第97章 後悔するな

桐生冬紀は、彼の好意を理解していた。だからこそ友人として、取り繕いもせず、率直に言う。

「黒崎教授、ご安心ください。違法な取引なんてしていません」

それから、淡々と条件を並べた。

「黒崎社長にはお約束しました。もし私を助け出してくださるなら、黒崎グループで働きます。五年の雇用契約を結ぶ、と。私の能力なら、五年でお返しできる成果は旧市街プロジェクトに決して劣りません」

黒崎グループからも、彼女に正式な誘いは来ていた。

桐生冬紀が以前から選択肢に入れていた地方企業は二社。ひとつは高橋グループ、もうひとつが黒崎グループだ。

ただ、比較した結果、自分には高橋グループのほうが合うと判断して...

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