第100章

「……もういい。話したくなったら、そのときでいい」

朝比奈澪のきゅっと寄った眉間を見つめ、神宮寺玲央は諦めたように息をついた。

別に大したことじゃない。

澪がずっと自分のそばにいてくれるなら、それだけでいい。

漆黒の瞳に、甘やかな色がふっと差す。

仕方ないだろ。

自分の奥さんは、甘やかすしかない。

澪はにしし、と笑って体勢を変えると、そのまま男の膝の上にまたがった。白く細い腕がゆっくり玲央の首へ回り、顎を上げて――喉仏にちゅ、と口づける。

「旦那さま、ほんと優しい!」

玲央は視線を落とした。黒い眼底に、危うい光が走る。薄い唇はきゅっと一直線。

密着した身体の隙間はほとんど...

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